平成29年確定申告の改正点

今年も確定申告の時期が近づいてきました。平成29年度の改正点の注目は医療費控除の特例となるセルフメディケーション税制になります。これから、セルフメディケーション税制を中心に改正点をいくつかご紹介させていただきたいと思います。


1.セルフメディケーション税制

 (1)概要

セルフメディケーション税制とは、個人が平成29年から平成33年までの各年において、健康維持や病気予防に取り組む個人が、自己又は生計同一家族や親族が特定一般用医薬品等を12千円を超えて購入した時、その超える金額(上限88千円)を、その年分の所得金額から控除するものです。従来の医療費控除では適用がなかった方もこの医療費控除の特例により医療費控除を受けることができる可能性があります。

 (2)セルフメディケーション税制の計算方法

  (その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費の金額 - 保険金等の補填金額)
  - 12千円 = 医療費控除(最高8万8千円)

 (3)適用を受けるための要件

  セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に健康の保持増進及び予防
  の「一定の取組」を行っている居住者が対象となります。
  ※一定の取組
    人間ドック、各種健診等、予防接種、勤務先で実施する定期健康診断、
    特定健康診断、特定保健指導、がん検診

 (4)特定一般用医薬品等購入費の範囲

  医者によって処方される医薬品からドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費
  ※購入の際の領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が
   表示されています。
   なお、一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。
   

 (5)注意点!

  ①セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であるため従来の医療費控除とは
   選択適用となります。従来の医療費控除と併せて受けることはできませんし、従来
   の医療費控除を選択した方はセルフメディケーション税制の適用を受けることは
   できません。
  ②一定の取組は申告される方のみ必要で、配偶者やその他親族の方は一定の取組を
   行う必要はありません。

.給与所得控除額

 給与所得控除額について、給与収入1,000万円を超える場合の給与所得控除額が
230万円から220万円に引き下げられました。

.配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し(平成30年度改正)

 (1)配偶者控除

  配偶者控除を廃止して夫婦控除を導入するか議論されていましたが、現時点では廃止
されず所得金額が900万円(給与収入1,120万円)を超えてから段階的に配偶者控除の額を引き下げていき、1,000万円(給与収入1,220万円)を超える方については配偶者控除が適用されないこととなりました。

 (2)配偶者特別控除

  配偶者控除の枠(いわゆる103万円の壁)を超えてから段階的に控除額を下げていく制度ですが、今までは給与収入103万円を超えると控除額が段階的に下がっておりましたが制度改正によりニュースなどでも取り上げられている通り、給与収入が150万円まで(いわゆる150万円の壁)は配偶者控除と同じ控除額を受けられることとなりました。そのあとは、段階的に控除額が下がります。

 (3)社会保険の収入の扶養要件について

  上記の制度改正に伴って150万円まで配偶者の方も稼げるようになったと思われる
  かもしれませんが、社会保険の収入の扶養要件は130万円のまま変わっておりません
  ので、社会保険の扶養に入っている方はその辺りも充分に考慮した上で判断する
  必要があります。




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